小咄

　帰りのタクシーの中で、ラテ子はミラ子社長の足をじっと見た。
　確かに今、ミラ子社長がはいているのは、元々はいていたストッキングではないようだ。

---ということは、やっぱりほんとに、あのホストがはかせたのかしらっ！　うーわー！　凄い！　どどど、どうやってはかせたのかしらっ。足先のほうはともかく、上げていったらスカートの中まで……。うーわー！！！---

　想像しただけで、また鼻の奥がヤバい。
　念のためにラテ子は、ハンカチで己の鼻を押さえて、ミラ子社長を窺った。

---ああ、私としたことが、大事な場面を見逃してしまった---

　下からミラ子社長と真砂の様子を覗き見てやろうと思っていたのに、うっかり清五郎との時間に夢中になってしまった。

---まぁいいや。楽しかったし。清五郎さんも素敵だったぁ。私の担当は、あの人にしようっと---

　はたしてホストでない者が担当になるのは可能なのか、はたまたその場合の売り上げは誰の成績になるのか。
　その辺りはわからないが、きっとミラ子社長と一緒に行けば、清五郎は来てくれるだろうし、清五郎の成績にならなくても、その分は真砂かヘルプの捨吉に行くだろう。
　真砂もNo.1の地位を守れるし、捨吉も成績が良くなるなら、それに越したことはない。

---目の保養にもなるし、ホストクラブっていいところね。次からは、しっかり鉄分採って行くようにしようっと---

　ふふふふ、と含み笑いをしつつ、ラテ子は隣でぐーすか眠るミラ子社長を眺めるのであった。

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　左近にしちゃ珍しい、大人な世界であります。大人なだけに、深成の出番はない。
　まぁ他の女子らも出て来てませんが。

　はたしてミラ子社長は、この一晩でいくら使ったのでしょう。
　ホストクラブはキャバクラやクラブのような、対男の店に比べて酒の値段がだんちに高いとはいえ、一本85万とか、最早わけがわからんよな。一体仕入れ値はいくらなんだよ。

　ミラ子さんはここでも『社長』ですが、このお話ではいつもの『mira商社』の社長ではありません。
　『mira商社』バージョンでは、真砂は普通のサラリーマンだからね(￣▽￣)

　でもいつでもミラ子さんの役どころは『社長』。そしてラテ子さんの役どころも、はっと気付けばいつでも『秘書』。
　……やるな。

　そしてここはホストクラブなのに、源氏名ではないという……(￣▽￣)源氏名にしちゃったら、わかんないしね。

2014/08/10　藤堂 左近