悲しげに眉を下げた先輩は──
「ちょっ、待…っ」
目を伏せて近づいてきた。
「先輩…っ」
“ホントに待って”
そう、言おうとしたのに。
「ん…っ」
出てきたのは、自分でも驚くほどの甘い声。
後ろには壁。
目の前には先輩の度アップ。
──逃げられない、小さな檻のなか。
「せ…っ、んん…」
やめてほしいのに。
言おうとする言葉はすべて、先輩に呑み込まれていく。
段々、段々。
深い海のなかに溺れていく。
「やっ…」
首を振って一度は逃れる。
でも、先輩がそれを易々と逃がすわけがなく、私の後頭部に手をそえて、さらに深く口づけてくる。
苦しくなってあけた唇を割って、温かいものが侵入してくる。
「ふ……ぁ…っ、は…っ」
でるのは、自分のだとは思えないほどの甘ったるい声ばかり。
いつのまにか目を閉じ、与えられる快感に身を任せていた。
長かったそれは。
チュッとリップ音をたてて、先輩が離れていくことで終わりを告げた。
足に力が入らなくて、先輩に支えられていたことでなんとか立っていた私はズルズルと、寄りかかっていた壁にそって座り込んだ。
乱れた呼吸を必死で整えようとしていた私は、そんな私を、先輩が優しい瞳で見つめていたなんて知らなかった。
「これでもまだ、信じられない?」
私にあわせてしゃがみこんだ先輩に、全力で首を横に振る。
……だからもうやめてほしい。ホント。
そんな私の願いは
「じゃあこれからもっと教えなきゃな♪」
この、目の前で笑みを浮かべる悪魔に、ぺしゃんこに潰されてしまうんだけど。
「もう十分です…!」
「いいじゃん。
俺に振り向いてほしいし。
てかさ、俺のこと好きだろ?」
「なっ…!」
後ろの壁は冷たいのに、身体中が熱かった。
意外と俺様な彼に振り回されて顔を赤くさせる私は。
もしかしたら先輩の言葉通りなのかも知れない。
隠れ俺様は壁ドンで愛を囁く
──end
完結です!はい!
この作品は、リクエストがあって作られたものです!
テーマは、題名にもありました通り
ズバリ、『壁ドン』!
そして、ヒーローは『俺様』という…。
『好きな人思いの優しい人で、いきなり俺様になる』という指定をいただいておきながら、こんな駄作になってしまい、ホント申し訳ない…。
これが、私、にゃっとの限界でございます。
dearふぅ様
初めて、あだ名で呼んでほしいと言ってくださった私の大切な大切な、ふぅ様。
今回はリクエスト、ありがとうございました!
この作品、愛を込めて贈ります。
fromにゃっと
そして、この作品を読んでくださったすべての皆様。
本当にありがとうございます!
感謝の気持ち、どうか届いていますように。
(しつこいようですが)
この作品に関わってくださったすべての皆様に感謝の気持ちを込めて。
皆様に、どうか幸せが訪れますように。
では、いつかまたどこかで会えることを願って
──にゃっと