「豆腐に納豆、挽き肉にネギ…それに、あ、あったあった、ニンジン。これで全部だよね?」

先ほど購入した品々を確認。ちゃんと買って帰らないとおばあちゃんに怒られちゃうからね。

おばあちゃんのお使いで来たのは、近所のスーパーマーケット。行きつけの店だ。

「さ、早く帰ろ」

茜色と藍色が混ざり合う空を見上げて呟いた。僅かに残る夕陽の残光も、もうすぐ闇に溶け消えてしまう。

家路へ就こうとしたその時、

「えーっと、これで良かったわよね…」

頭上から、声がした。

後ろでも、横でもなく、頭上から。

それは聞き覚えのある声で、恐る恐る顔をあげて見ると、

「え…」

声が漏れた。

それは当然のことだ。

箒に跨り、黒っぽいマントを羽織った美少女。彼女は確実に浮いている。箒に跨ったまま、浮いているのだ。

「え…」

私のその声でその人物も私を見る。鮮やかな赤の瞳は私を捉えると更に大きく見開かれた。

「「え…」」

その顔を見て、やはり見間違いではないことに気づく。

私はプルプルと震える指で彼女を指した。


「「えぇぇぇぇぇぇええ!?」」



二人して大絶叫したのであった。





「びっくりしたわ。月子ちゃん、いきなり叫ぶんだもの」

彼女と私は公園に移動した。まだ僅かに残る夕陽が私達を照らす。

「それはこちらの台詞ですよ、七星先輩」

私はため息をついた。

「箒で空を飛ぶ美少女を、七星先輩を見て叫ばずにはいられないでしょう? っていうか、それってどういう種類のマジックなんですか? タネってどうなってるんです?」

驚きすぎて、混乱してしまう。

どういった理屈なんだ、これは。空に浮かぶなんて。マジック…なんだよね? 多分。っていうか、それ以前に、こんな魔女っ子になれるようなマジックってあるの? これ、どこで売ってるの?