「どうしたの?貴方がこんなところにいるなんて」

七星先輩って、こんなにも綺麗で可愛らしい人なんだね…! 全校が騒ぎ、憧れるのもよく分かる。

ワインレッドの綺麗で大きな凛とした瞳に、美白な肌。スタイル抜群な体型に、キャラメル色の艶やかな髪の毛は後ろで一つに束ねられている。

こんな美しいマネージャーがいるなんて弓道部は羨ましい。帰宅部所属の私が言えることではないのだけれども。

「あら、貴方は…月子ちゃん?」

「え、あ、ハイ…」

突然美しすぎる先輩から名前を呼ばれて戸惑う私を見て、七星先輩はクスッと美しすぎる微笑みをくれた。

「藍羅からいつも聞いているわ。黒髪のボブ、凛とした瞳の一年生…とっても良い子だってね。きっと貴方のことでしょう?」


あ、藍羅先輩が、そんな風に思ってくれていたなんて…あぁ、これ以上の幸せってある!?ちょっと見つからないんですが!!

思わず涙腺と口元が緩みそうになった。


「…これ、忘れる、駄目」

そう言って、北斗先輩は何か細長い物を黒い布で包んだ物を手渡した。

「無いと思っていたらやっぱり忘れていたのね! ごめんなさい、もう忘れないわ」

「…それ、約束。これ、誰か、使う、危険」

「えぇ、十分に分かってるわよ。わざわざ届けてくれてありがとう」

ありがとう、の言葉で北斗先輩の頬が少し緩んだようにも見えた。

そしてドタバタと何かが落ちるような音が近くでして、見ると人が倒れている。男女問わず北斗先輩の笑みにやられたらしい。

弓道場を、否、デューク先輩と七星先輩を見に来たのであろう50人ほどの生徒達は皆、北斗先輩に笑顔に、美貌にやられて全滅した。

やはり美しいって正義であり罪である。

生き残ったのは私と乙葉だけだった。

「でも、どうして北斗はメガネを外しているのかしら? 家にいる時以外は必ずそのメガネを着けるって約束だったわよね?」

「…僕、思った。眼鏡、外す、皆、倒れる、バレる、無い」

「あぁ、そういうこと」

待って、サッパリ意味が分からない。