古城七星(こじょう ななせ)先輩。

藍羅先輩と同じクラスに通う、弓道部の頼れるマネージャー。

キャラメル色のふんわりした艶やかなセミロングの髪に、抜群のスタイル。

顔は言うまでもなく整っていて、まるで人形のように美しくも可愛らしい。

性格もサバサバしているがとても優しく、藍羅先輩に続いて、全校女子生徒が憧れる先輩、らしい。私は初めて聞きました。


そして日向デューク先輩は、言わずもがな爽やかで王子様の如く格好いいと兎にも角にも評判な先輩だ。

昨日弓道部に入部したらしいが、成績はずば抜けて良いんだって。

入部二日目にして、キャプテンを差し置き弓道部エースとなった大天才なんだと。

人柄も容姿も素晴らしいのは全校生徒が知っており、入学してきた日には藍羅先輩同様、ファンクラブが結成されたとか。


「…何か、凄いね…」

そんな凄い人が通う学校に、私も通ってるんだ、凄いなあ。

でもデューク先輩はヘラヘラしていて好きにはなれないけど。おまけに、デューク先輩は藍羅先輩一筋だし。寧ろ藍羅先輩しか見えていないように思える。

二人がじゃれあっている姿を見れば誰だって分かるだろう。あんたらバカップルか!って。


「それで、乙葉はどうしてここへ?」

すると、

「決まってるでしょー? 二人の先輩の勇姿を見に来たんだよー!」

と叫ばれた。

勇姿って、ただ普通に部活をしておられるようにしか見えない。

大体、弓道は精神力、体力はさることながら、集中力も試される競技。こんな弓道場の外が騒がしくて大丈夫なのかな…?

ハラハラしているのは私だけで他の人は皆そんなことは気に留めていないらしい。

チラリ、と人と人の間に見えたデューク先輩も、凄く集中しておられるようで、全く気にしておられないようだ。寧ろ、この黄色い声援すら聞こえていないのではないかと思う。