走って走って走って、気が付くと雑木林を抜けていた。


うわ…


一面の草原


どれも足首くらいの高さしかない草が、柔らかい風に吹かれて細かく揺れている。


漂ってくるひんやりとした土の薫りは、一瞬で僕の中で張り詰めていた何かを切った。


「疲れたぁ~」


崩れるように腰を下ろす。


さっきまでの雨で湿っているはずの地面は、何故かもう乾いていた。