トンネルの中は、5mおきぐらいに小さな電灯がポツポツと灯っているだけで薄暗い。


それに寒い。
まるで外の冷気を全部吸収しているみたいだ。


ズボンやシャツを触ってみる。


ジトッとした湿り気は、僕に着替えを迫ったけど、この先また雨に濡れることを考えて止めておいた。


不規則にある緩いカーブのせいで先が見えなくて、かなり不安になってくる。


それでも、右手にはまだ山本さんと舜の手の感触が残っていて、それが僕の足を前に動かしてくれる。