ケセランかぁ…


正直山本さんが言っていることの意味は分からなかった。


けど、『ケセラン』という耳慣れない言葉は、今も頭の中でグルグル回っていた。




遠くにぼんやりと霞がかって見えていたトンネルの輪郭が、少しずつはっきりしてくる。


思ったよりも大きい。


ぽっかりと口を広げたような入口の闇は、前にTVで見た心霊スポットとシンクロした。


トンネルの上には、深緑の葉をぶら下げた樹々が、頭を垂れるように生い茂っている。