近くに落ちたのか……と思いつつ、今日は持っていた傘を広げて車を降りると、辺りが暗くなっていることに気付く。
街灯も、建物の明かりも消えている。今の落雷で停電してしまったようだ。
ひとまずメルベイユのビルへ向かうが、停電でなくても今の時間すでに社員は退社していてエントランスが閉まっているため、その裏にある入り口の方へ回った。
この裏口はスルス専用で、メルベイユの社員がいない時間帯に出入りする時、ごくたまに使うのだと聞いている。
鍵は春井さんが管理しているようだが、扉に手を掛けてみると、まだ休憩室に人がいるせいか今は開いていた。
真っ暗なビルの中というのは異様で不気味だが、とりあえずスマホで足元を照らしながら、普段は滅多に使わない階段を上る。
なかなか復旧しないな……と思っている間にも三階へ着き、早急にスルスのドアを開けた。
しかし、人がいるはずなのにやけに静かだ。
シューズラックに明かりを照らしてみると、上履きの中に一足だけ春井さんのものらしき靴がある。やっぱりいるんだな?
「春井さん?」
呼びながら休憩室のドアをノックするが返事がない。
ざわつく胸を抑えられずにすぐドアを開くと、中はやはり真っ暗。
だが、稲妻によって部屋の中が照らされた一瞬で、窓の下辺りに人が倒れているのが見え、息を呑んだ。
「──春井さん!?」
街灯も、建物の明かりも消えている。今の落雷で停電してしまったようだ。
ひとまずメルベイユのビルへ向かうが、停電でなくても今の時間すでに社員は退社していてエントランスが閉まっているため、その裏にある入り口の方へ回った。
この裏口はスルス専用で、メルベイユの社員がいない時間帯に出入りする時、ごくたまに使うのだと聞いている。
鍵は春井さんが管理しているようだが、扉に手を掛けてみると、まだ休憩室に人がいるせいか今は開いていた。
真っ暗なビルの中というのは異様で不気味だが、とりあえずスマホで足元を照らしながら、普段は滅多に使わない階段を上る。
なかなか復旧しないな……と思っている間にも三階へ着き、早急にスルスのドアを開けた。
しかし、人がいるはずなのにやけに静かだ。
シューズラックに明かりを照らしてみると、上履きの中に一足だけ春井さんのものらしき靴がある。やっぱりいるんだな?
「春井さん?」
呼びながら休憩室のドアをノックするが返事がない。
ざわつく胸を抑えられずにすぐドアを開くと、中はやはり真っ暗。
だが、稲妻によって部屋の中が照らされた一瞬で、窓の下辺りに人が倒れているのが見え、息を呑んだ。
「──春井さん!?」