ケータイを取りに行くため、


病院にもう一度入る。


お母さんの病室に向かっている途中、


一つの部屋から、

聞き覚えのある声が聞こえた。


「先生…、香里は大丈夫なんでしょうか?」


…お父さんだ。


「水野さん、覚悟はしていて下さい。」


「そうですか…。最近、いつも苦しそうな顔をしていたけど、

…まさかここまで深刻とは…」


「香里さんの癌が、

あと少し早く発見できていたらよかったんですが…。」