「なんで……っ?」
「そんなこと、自分でわかってるんだろ?」
少し冷たく言ってみる。
陽菜は、俺になかなか頼ったり、甘えたりしてくれないから、こういうことを言っていじめてしまうんだ。
「……うん、わかってるよ……。でもっ!」
「でも?」
陽菜に、その先の言葉を紡ぐように促す。
きっと、陽菜が次に話すのが、今回ムリしてまで来た理由。
「でも、どうしても行きたいの……。熱なんて大丈夫だもんっ。ヒック……」
"どうしても"か……。
「今回じゃなきゃダメな理由でもあるの?」
その言葉を聞いて、陽菜の気持ちをせき止めていたものが外れたようだった。