「…茜さん?どうかしました?」




何かを考えるように俯く茜さんの様子はどうやら深刻そうだった。


…どうしたんだろう。




「……花ちゃん、私ねぇ…」




そう言い出した茜さんは、ゆっくりと私を見つめた。


その目は何かを決心したような真剣なものである。




「……私、横山さんに想いを伝えようと思うのぉ」


「…………えっ!?」




えええええ!?

そ、それはまた……突然ですね…?



目を見開いて驚く私を見て、茜さんはクスリと笑った。




「私、前に花ちゃんに棗様のことを頑張ってみようよって言ったじゃない?」


「は、はい」




私が棗様への気持ちに気付いて諦めようとしていた日。


茜さんは身分なんて関係ない、と私を励ましてくれた。



……あれがどんなに嬉しかったか。




「それでねぇ、あんなこと言ったのに……私ったら、自分の事は全然頑張れてないなぁって思ったの」




きゅっとケーキを包んだ袋の口をリボンで結び、茜さんは苦く笑った。