「マコちゃんが、あんなことするからいけないんだよ?」


困ったように、弱々しく笑う玲央くん。

“あんなこと”って言うのは、間違いなく昨日のキスのこと…だよね?


「今までずっと我慢してたのに…」

「え…?」

「嫌われたくなかったから…ずっと一緒にいたかったから…隠してたのに…」


ぽつりぽつりと。
玲央くんは目を伏せて、まるでひとりごとみたいに呟いた。


「玲央くん…?」


このままじゃ、玲央くんのほうが泣いちゃいそうだ。

胸がキュンとなって、思わずその頬に手を伸ばした…ものの、


「マコちゃんは、僕が“女の子みたいだから”好きなんでしょ?」


パッと。いきなり顔を上げた玲央くん。私は慌ててその手を引っ込めた。


「女の子みたいだから…男だと思ってないから、仲良くしてくれてるんだよね?」

「へっ?」

「だから…、僕が“男”になったら、マコちゃんは僕から離れて行くんだよね?」