玲央くんに触れて。
その感触に甘い幸せを感じたのも束の間。


「……ん?」


私が唇を離したのとほぼ同時に、ゆっくりと玲央くんの瞳が開いて。まっすぐに私を捉えた。


「!?」


……えっ?起こしちゃった…の?


「マコちゃ…?」


ど…どうしよう?

バレた?いや、落ち着け。まだそうと決まったわけじゃ…ない。

玲央くんの目、とろんとしてるし。熱あるわけだし。

すぐにこの状況を把握できるわけな…


「今、何か…した?」

「…っ!?」

「顔、近い…」


……ダメだ。

前科者の私。この不自然すぎる距離。

これはちょっと厳しいかもしれない…


「ち…違うの。私は…コレ。そうコレを替えようと思って…」


苦し紛れに、慌てて玲央くんのおでこの冷えピタに手を伸ばしてみたけれど…


「マコちゃん…」


これは絶対に誤魔化しきれそうにはない。

潔く謝るしかない!


「玲央くんごめ…」


一歩離れて、頭を下げようとした。その瞬間――


「…わっ!」


ぐいっと。身体が引き寄せられて。バランスを崩した私は思わず前に倒れ込んだ。

そして、なぜか……


「…んっ」


唇に再びあの感触を感じていた。



……え?