私、相良 麻琴(サガラ マコト)と、
お隣の和泉 玲央(イズミ レオ)くんとのつき合いは、もう10年以上になる。
同じ時期に越して来て。
同じ幼稚園に通い始めた。
まず親同士が仲良くなって、私たちも自然と一緒に遊ぶようになって…
気づけばいつも隣にいて、1番の仲良しになっていた。
それは、お互いに高校生になった今でも変わらない。
男とか女とか意識することなく、順調に友情を育んでいる。
……まぁ、それは玲央くんがちょっとだけ“特殊”だからかもしれないけど。
だって…
「今度は何を作ってるの?」
――玲央くんのお部屋。
焼きたてのケーキを頬張りながら、私は玲央くんのほうを見た。
今日も変わらず美味。
一緒に用意してくれた紅茶がまた、合うんだよね。
パクパクと食べ続ける私のお皿はすでに残り少なくなっている。
それとは対照的に、玲央くんのケーキは一向に減らない。
ケーキも紅茶も…ついでに私のこともそっちのけで、さっきからずっと手元に集中したまま、だ。
器用に動く玲央くんの指先。
だんだん形になって行く、毛糸の…
「んー…?これはね…、冬バージョンのシュシュだよ。」