……それにしても。


「こんなときまで“可愛い”なんて、反則だよね」


眠っている玲央くんを目の当たりにしたら、思わずため息がもれてしまった。

だってさぁ…


「まるで、お姫様だよ。」


熱のせいで蒸気した頬は“薔薇色”って形容詞がよく似合うし。

苦しそうに歪んだ唇は、いつもに増して赤く艶やかに見える。

おでこに貼られた冷えピタさえも、玲央くんが付けるとなんだか素敵なファッションのような気がしてしまう。


私が風邪をひいたときなんて、ボロボロでボサボサで…見れたもんじゃないのに。


……って。

私ってば、玲央くんが大変なときに何を考えてるの!

こんなに弱ってるのに。苦しんでるのは、私のせいなのに…


そればかりか、

一瞬、本気で「童話の中の“王子様”みたいに、キスして目覚めさせてみたい」なんて、不謹慎なことを考えちゃったよ…


全然反省してないじゃん!