「え?ちょっ…マコちゃ…」


そのマシュマロみたいな白い肌をふにふに触りながら。

赤く熟れた唇をパクリとひと口…

きっと、ケーキなんかよりずっと甘くて美味しいはず――


「マコちゃん!!」


玲央くんの叫びに、はっと我に返る。


「ど…どうしちゃったの?ち…近いよ?」


気づけば、私は玲央くんを壁ぎわに追い詰めていて。至近距離で顔を近づける格好になっていた。


「あ…、もしかして、さっきのケーキに洋酒入れすぎたかな?マコちゃんってお酒に弱いとか…」


弱々しい笑顔を作りながら、私から顔も話題も反らして。なんとか逃げようとする玲央くん。

でも…


「玲央くん…」


私は逃がすつもりはない。


「…っ!?」


玲央くんの顔を両手で挟んで無理やり前を向かせて、まっすぐに見つめた。


「ねぇ、玲央くん?」


そして、なるべくやさしく問いかけた。


「玲央くんは“好きな子”がいるんでしょ?」