「玲央くんは、チョコあげる人いないの?」

なんとなく。
本当になんとなく。

ふいに浮かんできた疑問。


「え?」

びっくりしたように顔を上げて、私を見つめる瞳は文句なしに愛らしい。


「チョコ、作ってあげる人いないの?」

「いるよ?」

「えっ?いるのっ?」

「うん。毎年マコちゃんにあげてるじゃない。」


きょとんとした様子。
首をかしげる姿がこれまた様になるなぁ…って、そうじゃなくて。


「聞き方間違えた。玲央くんは“好きな子”いないの?」

「えぇっ??」


おおっ。意外にも反応が大きいぞ。

なぜか狼狽えている玲央くん。手から編み針落ちてるし。


「いないの?好きな子。」

「い…いる、けど…」


おお!いるのか。
玲央くんもスミにおけないなぁ。

……ん?待って。
ちょっと気になることが…


「それって“女の子”?」


玲央くんは男の子だけど、女の子のイベントに参加するわけで…

玲央くんの“性的嗜好”について、なんて今まで考えたことなかったけど…

もしかしたら、“そういう”可能性も…


「お…女の子、だよっ」