……と、思いつつ。


「ねぇ、玲央くんはさ…」


ものの5分で耐えきれなくなった私。

だってさ、そもそも私は1人でいるのがつまらなくてここに来たわけじゃない?

なのに、こんな…
同じ部屋にいるのに、黙ってじっとしてるとか無理なんだよね。


「玲央くんは、今年も“チョコレート教室”やるの?」


話しかけるくらいならいいよね…?

玲央くんは器用だもん。
話しながらだって編めるはず。


「んー?」


ほら。ちゃんと聞いてくれてる。


「バレンタインのチョコレート教室。今年もやるの?」

「え…?チョコレート?…ってあれ?マコちゃん、もう読み終わったの?」


手を止めて。
玲央くんがこっちを見た。


「うん。」

「おもしろかった?」

「…そこそこ?」

「そっか。よかった。」


にっこりと。
これまた“可愛い”顔で笑う玲央くん。


「で、なに?チョコレート?」