眠れなかった。
一睡もできなかった。

どんなに苦しくても

どんなに悲しくても

朝は必ずやってくる。


冬真くんに出会って恋をして…
初めてだった。

会いたくない‥そう思ったのは。

重い足どりで学校へ行く。

『会いたい』と思ってもなかなか会えない事があるのに

『会いたくない』そう思ってしまうと、偶然会ってしまうものだ。

2時間目は移動教室で、楓と向かって歩いていると
授業をさぼっていた冬真くんと
ばったり出くわしてしまった。

「はよっ。」

冬真くんが照れ臭そうにニカッと笑う。


(…そんな顔しないで。
期待しちゃうじゃない。本気にしちゃうじゃない。)



「おはよう。あのね、話しがあるんだけど…。」

「えっ?でもお前授業は!?」


冬真くんは不思議そうな顔をしてたけど

私は楓に、次の授業さぼるから先生に適当によろしくと頼んで

冬真くんを連れて屋上へ向かった。