「うしっ!」

冬真くんが小さな声で
自分に気合いを入れると

スタート地点へと向かった。




ピストルの音とともに
決勝に残った12人が一斉に走り出す。



クラス中が

「冬真〜頑張れ〜!!」

「抜かせ!抜かせー!!!」

と声援。



私も負けじと声をからして応援した。

1人また1人と抜かしていき
ラスト1周。

冬真くんと他校の男の子が1人
一対一の勝負になっていた。

(あと半周…)



ほぼ同時に走っている。



(あと‥あと…)



皆の声援がより一層大きくなる中

なぜか私だけは声が出なかった。
(どうか神様…冬真くんが優勝できますように)

と両手を合わせて祈るような気持ちで見つめていた。


そして‥…