「でも、他にないじゃん。高木一人なら、逃げ切れるんだしっ」

「…」

困ってないで、逃げてよ、高木ぃ。
私たちは、覚悟出来てるって言ったでしょ。

「乗れ」

「え?」

「おぶってやるから、乗れ」

「高木くん…」

「早くしろ」

高木ぃ…。
高木がしゃがんで向けたその背中に里乃が乗ろうとしたその時、嫌な声がした。

「あっ!いたぞっ!」

見つかったっ!