そしてどれくらいの時間が経ったんだろう…。
ほんの少しの時間だったはずなのに、とても長く感じた。
莉々香ちゃんはそっと唇を離す…。
そして初めて見るような優しい微笑みを浮かべて……、
「ねぇ……。或斗……あたし、大好きだよ……。もう、或斗抜きじゃ生きられないなぁ…。愛してる。」
酷く、残酷な言葉を口にした。
「う、そでしょ…?莉々香ちゃん…?」
目の前で微笑んでいる莉々香ちゃんなんて信じたくなくて、こんな莉々香ちゃんはイヤで。
僕はこうつぶやいた。
「莉々香?」
そして、咲哉さんの酷く低い声が聞こえる。
この声に莉々香ちゃんは______そっと、こちらを振り向いた。
大きく目を見開いて、あり得ないという表情で。
莉々香ちゃんは、咲哉さんだけを見つめる。
僕ではなく、龍翔でもなく、咲哉さんを____。
その事実に僕はまた傷ついた。
莉々香ちゃんは僕になんて助けを求めていない。
咲哉さんしか____莉々香ちゃんには必要ない。
そして莉々香ちゃんは…初めて見るような表情で、綺麗な涙を流すのだ。