あなたとの出会いはそんなものだった。
何の面白味もなく、珍しくもない普通の出会い方。


だけど、縁というものは不思議なもので、帰りの電車が同じだったり、履修した講義の教室にあなたがいた。
それから少しずつ話をするようになり、あなたは私の1つ上の先輩だと言うことを知った。
それでも先輩は気兼ねなく、私と接してくれた。だんだんお茶をしたり、一緒にご飯を食べたりとする仲になったのだ。


先輩は、私と正反対の人だった。

明るく、誰にでも優しくて人気がある。男女問わず皆、先輩の笑顔に惹かれてしまう。―――そんな魅力を持った人だ。


そんな先輩が、どうして私とこうして連るんでくれるのか分からなかった。



でも、臆病な私はその質問を聞くことが出来なかった。聞くことによって関係が崩れてしまうことを恐れたから。


いつの間にか、私にとって先輩は大切な人になっていた。