「平気よ、こどもじゃないんだから。」



「こっちは本気で心配しているんだ。」



ぱちんとケトルのスイッチがあがって


お湯が沸いたことをわたしに知らせた。




わたしはそれをちらりと眺めて


違うことを考えていた。


お湯のことでもなくて、千樫のことでもなくて。




「まあ、お前がいいならいいよ。 今日お前と譲、授業は?」



あー… えっとねえ…



電話越しにわたしは鞄のもとに早足で行き


ひっくり返して手帳を手に取った。


「わたしも譲も今日の講義は午前中までね」



「それじゃあ花見にいかないか?」



「花見? なんの花を見に行くのよ。桜はまだでしょ。」