「ごめんね ごめんね」

悲しくて そしてまた子犬が一人ぼっちになることが
たまらなく申し訳なくて
私は記憶にないくらい泣きながら子犬を抱いて
拾った公園までやってきた。


段ボールはまだ残っていた。


「おかあさんなんか大嫌い!!!
いっつもいっつも 私の言うことなんか
全然聞いてくれないの……ウッ……ヒック…ヒック……」


子犬は くーん くーん と鼻を鳴らした。


「ごめんね 誰か家族にしてくれないかな」


私はそこらへんを歩く人たちに


「すみません この子を飼ってくれませんか?」と

聞いて歩いたけれど みんな困った顔だけして
通り過ぎて行った。



辺りが少しづつ暗くなって
心細さと子犬を置いて行かなければならない罪悪感で
また涙が溢れてきた。


「明日明るくなったらすぐにまた来るから!!
ご飯も持ってくるからね!!!」


段ボールに戻した時の子犬の顔は今も忘れられない。


「誰か~~~この子を家族にしてあげてくださ~~~い!!」


そんな人前で声を上げたことは初めてだったけど
家路に急ぐ人たちに向けて私は叫んでいた。