……君の罪、自覚しなよ……
目のみで物語る。
ボクに裕美に話しかけたような
柔らかな声色を求めた少女は慌てて立ち去っていた。
裕美を引っ張って。
……そう……。
これが、汚れてしまった今の現世。
己が目的のために
誰かを傷つけることもある。
「YUKI、大丈夫」
人混みに囲まれている
ボクに気が付いたマネージャーの有香さんが
輪の中に入ってくる。
そしてボクの手を引いて車の方へと走っていく。
「YUKI、何してるの。
ほらっ、だからいつも言ってるでしょ。
家まで迎えに行くから待ってなさいって。
貴方はもう少し、自分の知名度を学習した方がいいわ」
お小言を右から左へと流しながら、
咲と契りを結んだ瞬間を思い起こす。
裕美ちゃんと言うあの少女を助けた時も、
有香さんと手を繋いだ時も『ぬくもり』を感じることはない。
拍動を感じることはない。
……咲……
ボクが拍動を感じるのは
君、ただ一人。
☆