次の瞬間、光の中から
解き放たれる優しい光が
ボクを優しく包み込む。



「蒼龍、咲の元へ行ってきます」




再び、頭を垂れた後
ボクは、一気に咲の末その場所へと回廊を渡っていく。




蒼龍の加護を抱いたボクの体は、
蝕まれる闇の流れを、今は遮断されているかのように
体が軽く、痛みも感じない。





咲の声に耳を澄ませ、
咲の声に心を寄せる。



何度も叫び、暗闇に引きづられて行く咲の声を聞くたびに、

【全ては偽り。
 咲は一人じゃないんだよ】


っと何度も何度も、
息吹に乗せて咲を思いながら言霊を発する。



咲のお母さんも、
咲の事を忘れたりしてない。


咲に安息を貰ったボクだから
今度はボクが、今できる全てで
君を守って見せるから。


大好きな咲のお母さんの想いを
ボクが伝えてあげる。




それが多分……
ボクが咲にしてあげられる最後の贈り物。



永き闇の時間、王である和鬼は、
国を守ること放棄した。


咲鬼姫に託された世界。




どれだけ慈しみをかけても、
その地に咲鬼姫はいない。





咲鬼姫を裁いて人の世に送り出した、
桜鬼であるボクがいるから。