「和鬼、
 お祖父ちゃん知ってるの?」


思わず和鬼を問い詰めるように顔を見る。



「……知ってるよ……。

 咲久が居たから……
 ボクは……この地の守り神として
 住みついたんだ。

 まだ咲久が幼かった頃かな。

 YUKIとしての芸能活動も
 してなかった時代……。

 この地に……桜鬼神として、
 初めて降り立った年……。

 戦いに敗れて……
 傷ついたボクを見つけて……
 助けてくれた。

 それが……咲久。

 咲のお祖父ちゃんなんだよ。

 その恩を返すために……
 ボクはこの地の守り神となった。

 この地の守りも……
 薄くなっていたから。

 その時、ボクは咲久と契約を交わした。
 
 ボクの血を杯【さかづき】にうけたんだよ」



……和鬼……。


どれだけ年月を重ねてもその姿が老いることはないんだね。

お祖父ちゃんがまだ幼い時代から。




「再びのお目通りが叶い咲久、
 冥土のよい土産が出来ました」


冥土の土産って。

お祖父ちゃん、縁起でもない。



「ねぇ、お祖父ちゃん。

 私……和鬼と一緒に住もうと思う。
 
 うちで住みたいっていったら、
 お祖父ちゃん反対する?」



思い切って、帰ってからお祖父ちゃんに
交渉しようと思ってたことを問いかける。


「…………」


暫くの沈黙。



やっぱダメって言うかな。

だけど……。

私も引けないんだから。