「相変わらずだねぇ」


「これじゃあ、帰りまで中島くん、捕まんないんじゃない?」



登校早々、友達の話を耳にしながら机の上で頬杖をついて、大きなため息をした。



目の前で女子らに囲まれる大翔。



今日は、バレンタイン。



ムードメーカーかつ好青年で通ってる彼がこうなるのは、分からなくもないけど……



彼女としては全然面白くない……











昼休みを知らせるチャイムが鳴った瞬間、大翔は速攻で私に近づき手を取り、扉へ向かって走り出す。



やっと、彼が足を止めた先は空き教室。



走らされたおかげで、はぁはぁと息が上がる。



「ごめんな」



そう言って、頭をポンポンしてくる 。