「おまえに言ってねぇよ! だいたいおまえら誰だよ!」

「えっ!」


飛び火的にすごまれて、少年は怯んだ。



「おまえら何してんだよ……」



そこへさらに見知らぬ少年がドリンクのボトルを持って現れた。やはり彼らと同じジャージを着ている。

大人びた印象を与える涼やかな目元と凛とした佇まいが目を引く、そこはかとない色気の滲む少年だ。



「あっ、シラリン!」

「有正までいるのかよ」


シラリンと呼ばれた少年は気怠げに一渡り、一同を見ると、


「いったいなんの会合なんだ、これ」


とあきれた声で言った。


「ちがうよ。ちょっとしたトラブルなんだ」

「どうでもいいけど、集合だぞ、夏原」

「窪川、集合だってよ。行こう。行こうって」


夏原と呼ばれた小柄な男子が窪川の腕を取る。

同じチームだろうに何故彼の名前しか呼ばないのだろうといぶかりながらも、菜々子は後ろ手に有正の手を探った。


「有正、わたしたちももう行こう」

「おい女! まだ話は終わってねぇぞ!」

「どっちもよそ見してたんだからお相子のはずです。なんなら今から交番にでも一緒に行きますか? わたしたちはかまいませんよ。そこでケリをつけましょう」