「希衣!おはよ」


………だめだ。

この声を聞くと、心の奥がじわじわと痛む。


「……おはよ、翠」


どんな顔してこの人と向き合えばいいんだろう。


翠のことも好きだ。

この人も、ほんとにいい人で、ほんとに、ほんとに。


だけど。


運命、みたいなやつ、

今でも期待しちゃうのは律で。


この人じゃない。


心のどこかで思ってたことを確信してしまった。