「今宵は何かあるのか?」




「一…。何もないよ」




「では何故平助に謹慎だと嘘を付いた?」



「……っ…」



一は鋭いからな…。




きっと誤魔化してもきかないんだろうな。





「今日は……平助が死ぬ日なの…」




「何!?」




「ほら、近藤さん達が伊藤さんに資金調達の話を持ちかけるでしょ?その時に伊藤さんに沢山お酒を呑ませて酔ったところを2番組と10番組が襲撃する。そして伊藤さんの亡骸を使って御陵衛士をおびき出し皆殺しにする。その時に左之と新八が平助を逃がそうとするんだけどその事を知らなかった隊士が平助を……」




「そう……か…。そこまで知っているとは大したもんだな」




「もちろんよ。私、現代にいた時から新撰組が大好きだったんだから全ての知識がここに入ってるのよ」




ここと言って頭をツンツンと叩いて見せた。





「……伊藤さんに着いて行くのだろう?気をつけろよ」




「わかってるって。悪いけど御陵衛士には消えてもらう。そして私も平助も新撰組に復帰するの!だから一は私達が戻るのを待っていてね」




「ふっ。頼もしいな。頑張れよ、先に屯所で待っている」




そう言って一は私の頭をクシャッと撫でると廊下の向こうへ消えて行った。