再び両手を合わせて
「ごちそうさまでしたっ!」
と言うと空になった皿をすかさず一葉が手に取りキッチンに運びながら「少し時間があるから休憩してなー」と笑顔で言った
俺はその言葉に甘えて椅子の背もたれに重心をかけ伸びをした
寝起きで硬くなっていた身体が柔らかくなるのを感じた
そして電気の光が少し眩しいが一面に白が広がる天井をボーッと見上げていた
...が、すぐに俺の目の前に男の顔が見えた
「おっす、冬馬。今日はいつもより起きるの早いんじゃねーの?」
意地悪そうな笑みを浮かべ俺の目の前に現れたその男はこの寮の住民であり先輩の石蕗 光臨(つわぶき こうりん)さんだった
光臨さんは俺の志望校である日向丘学園に通う高校二年生であり、とある部活の部長をしている
「はよっス光臨さん。今日は朝部活ないの?」
ヒョイと椅子から立ち上がり光臨さんの正面に来た
光臨さんは高校二年生にも関わらず成長期が遅いのか、もしくは成長期に忘れられたのか160.2と結構小柄だ
俺は175あるから並ぶと俺の方が頭一つ分くらい大きい
だが、器の大きさは人一倍な光臨さんを俺は尊敬している
「今日は部活無しにした。この前部員同士で喧嘩があったからな」
にこりと満面の笑みで右手に拳を作り自分の頬に当てるような真似をしながら言った
実は、光臨さんの所属している部活は『不良部』という
一見怖そうなイメージを持つがそのまんまのイメージだ
だが、光臨さんが部長に就任してからは不良を更生させる部活になっている
今では他の部活への助っ人などに不良部は駆り出されたりと多くの場面で活躍している
勿論入部してくるのは根っからの不良だからさっき光臨さんが言ったように喧嘩も起きる
だが、そんなの光臨さんがいれば関係ねぇ
光臨さんは身体は小さいがめちゃくちゃ強い