ここで、元彼の勤務先だったので詳しくなりました、なんて。
そんな空気の読めない発言もできないし、なにしろしたくない。
そんな心の葛藤を読んだのか、大志さんは続ける。
「さしづめ。俺の予想としては。友人やご家族が商社勤めか。今までの仕事で商社マンと接したことがあるか」
あとは。
「元彼関係とか、ね」
なんて勘の鋭い人なんだろう…。
見つめられたビー玉の瞳はそらされない。
しかも目元は真剣なまま、口角だけは少しあげ、なんとも余裕な表情だ。
「あたり?」
「…返答を聞く前に、あてた自信あります、っていう顔してますけど」
「うん。彼氏の職業に詳しくなるのは想像つくからね」
「…元彼じゃなくて、今彼かもしれませんよ?」
「それはない」
即答で言い当てられて、なんだか少しむっとする。
なんだそれ。そんなに私いま、彼氏いないオーラでてるってことか。