その一瞬の戸惑いすらも、伝わってしまったらしく。


「…ふーん。訳あり、なのかな」


少しだけ低くなった声色は、おそらく気のせいじゃない。

店内に流れていたアップテンポの洋楽が終わり、柔らかなオルゴール調のクラッシックに変わったようだ。
流れている空気感は決して張りつめたものではないのに、緊張感が押し寄せる。

大志さんはテーブルに軽くおいていた肘を頬杖につきなおし。
目線を私と同じ高さにするように、顔を少し傾けた。

ビー玉の瞳が、私の瞳をとらえる。
うまい言い訳しなくてもいいよって、その瞳が語ってる。