「それにしても。このめぐり合わせには驚いたな。まさか真のお店でまた会えるなんてね」

「…はい。私もびっくりです」

「…店の表で話してた声もちょっと聞こえてたから疑問だったんだが。お前ら知り合いなのか?」


真さんは訝しげに私と大志さんの顔を交互に見ている。おそらく、長年行方をくらましていた旧友と私が知り合いだということに結び付かないのだろう。
なんて説明したらいいのだろうか。たった一度路上でぶつかり言葉を2、3交わしただけの間柄だ。私はよそでマリンに似た香りをかぐたびに、彼を思い出してはいたけれど。

ここは妥当に『真さんにアヴァンシィで働く誘いを受けたあの日、大志さんとも初対面を果たしていました』、とでもいえばいいのだろう。
とりあえず初対面ではないことを説明しようと、口を開きかけたそのとき。


「真には秘密」