突然の来客に、真さんは驚きを心底隠し切れないというような表情をした後。
すぐに顔をゆがませて、まさかの、閉店だ出てけ!と言い放ったのだ。

そういわれることはもう見越していたのか、にこやかにほほ笑みながら真さんが勢いよく閉めようとしたドアに間一髪で足を挟んだ。
鋭い視線を投げ続ける真さんと、上品なほほ笑みを絶やさない彼。


な、何この二人。私にどうしろっていうの。


私がオタオタし始めたのに気付いたのか、真さんは何秒間か睨んでいた視線を緩め、閉めようとしていたドアから手を放した。
一杯料金10倍増しでとるからな、と相当えぐい条件を言い捨てると、すたすたとカウンターに帰っていったのだった。