奇跡みたい。

また、会えるなんて。


「…いらっしゃいませ」


彼もすぐに私の存在に気付いたのであろう、一瞬大きく瞳が開き言葉を失っているようだった。


「…あ、もしかしてあの時の?」

「はい。恥ずかしがら、その節はありがとうございました」

「驚いた、また会えるなんて」


お互いがまさかまた会えるとは思っていなかったに違いない。

偶然が重なった単純な驚きと、あのときハローワークの資料を見られている恥ずかしさと、何度も思い出していたマリンの香りの恋しさと。

私はいろんな感情が混ざって上手い言葉が出てこなかった。