私が鼻のつままれ損だっただとか、後頭部は完全にたんこぶができてて触ると痛いだとか。
なんとかユーモアのある答えをぐるぐると考えていたけれど、美弥から先手がうたれた。

美弥なら私が言いたいことなんてお見通しなんだろうな。
この電話をかけずにはいられなかった、私の小心者の心の中までも、全部。


『さしづめ。マスターの本気をみちゃったから今後どうしようってことでしょ』


本日好調の美弥の棘が私の心臓にぐさりと突き刺さった。
さらに受話器越しだけどはっきりと聞こえてくるため息が私の気持ちにさらに追い打ちをかける。


次に聞こえてくるだろう美弥の言葉が怖い。私は携帯を今まで以上に強く握った。