「別れたことは知ってるよ、美弥ちゃん号泣だったしな」
停止した車内は心地よい流行りの洋楽が流れる。
とんとん、と音楽とともに一定のリズムをハンドルにたたく真さんの指は、マスターならではの少し荒れた手。
「…その日、どこまで聞いてたの?美弥との話」
「いきなり電話がかかってきたところから、それと別れて正解だったと美弥ちゃんが叫ぶまで」
「……さわりと最後だけ聞いたってことね」
何度も私と美弥の相談場所兼、ぐち会場となっていたアヴァンシィでマスターをする真さんには、私たちの恋愛事情は筒抜けだ。
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