その日、外来は病院の敷地の一部を立入禁止として通常通り診察を行ったが、入院患者は病棟からの外出を禁止された。
ようやく外出が許可されたのは、警察の現場検証が終わった15時過ぎだった。
私は不安な気持ちを誰かに打ち明けたくて、唯一の知り合いである高宮さんを探して1階の受付ロビーに向かった。
するとまた、スポーツ刈りの男性と話をしていた残りの3人が、受付ロビーのベンチに集まっていた。
3人共、一様に顔が青ざめていた。
私はまた昨日と同じ様に、2つ離れたベンチに座った。周囲を見渡したが、高宮さんの姿は無かった。
「おい、やべえよ。
まさか、自殺するなんて思わなかったし」
私の耳に、3人の会話がかろうじて届いた。
やはり、屋上から飛び降りたという、スポーツ刈りの男性に関する話をしているらしかった。
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