「屋上から飛び降りた人って…スポーツ刈りの男性ではないですよね?」
看護師は私の言葉に一瞬驚いた表情をした後、半分開けていた扉を閉めた。
「な、なぜそれを知っているの?病室関係者だけの極秘情報なのに…
いずれ噂は広がるでしょうけど、その話は他の入院患者に話しては駄目よ」
看護師は私に口止めをして、足早に病室を後にした。
私は看護師の言葉に反応する事さえ出来ず、体温計を床に落としてしまった。
スポーツ刈りの男性…
やはり、幽霊狩りにこの病棟に来ると言っていたあの男性だ。あの人が屋上から飛び降りたんだ。
私は猛烈な寒気に教われ、歯がカチカチと音を立てる程に全身が激しく震えた。
やはりあの時、部屋の前を通り過ぎたのは、あの人だったんだ。そしてあの直後、この廊下で何かが起きたんだ。
どう考えても、そう考える方が辻褄が合う。
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