「ありがとうございます。梓様」
あたしはプリントを高々と両手で抱える。
すると、梓は呆れた顔で笑った。
「今日で宿題終わらせなきゃね。サラはまだ向こうでの仕事とかあるんでしょ?」
「う~ん。仕事っていうか、例のあのことを調べたいから、ずっとこっちにはいられないよね」
図書室には何人か生徒がいたので、小声で言う。
「あたしも何か協力したいけどさ、あたしには何も出来ないもんね」
梓も声をひそめ、肩をすくめた。
あたしは切なく微笑み、梓の持って来てくれたプリントに視線を落とす。
今、ルカ達はどうしてるんだろう。
何か新しい情報は入ったのかな。
こうやって普通に女子高生をやってると、何だか申し訳なく感じる。
ルカと知り合ったとは言え、あたしはただの人間だ。
無力で、何も力になれない……。
あたしは梓のプリントを見て、急いで自分のプリントにそのままうつした。
ただ書いているだけなので、何も頭に入って来ない。
こんなんじゃ、夏休み明けのテストは最悪だろう。
だけど、今はそんなこと言っていられない。
早く課題を終わらせて、また魔界へ行こう。