そう考えてみると、たしかに納得できる気がするんだ。
見なかったことにして通り過ぎることだって出来たのに、わざわざ車を停めたこと。
彼女を放っておくことも出来たのに、俺の家に連れ帰ったこと。
そして……帰ろうとする彼女を引き留めたこと。

すべては、俺が鈴に惚れたから。
おかしいのは自分でも分かってる。
今日初めて会った女。
別に女なんて勝手に寄ってくるから、女に困ってるわけではない。

それなのに……

鈴が欲しい。
鈴を俺のものにしたい。


気づいたとたん、そんな想いが溢れてくる。
こんな気持ち、初めてだ。
俺が女にこんなことを思うなんて。



―――気づいてしまったら、もうその想いは止まらない。