~十夜side~

「あいつは一体なんなんだ?」

俺の言葉に二人とも反応した。

「急に呼び出されて、急に自己紹介されて、急に監視役だなんて言われてもねぇ......。」

「大体、何を監視するんだよ!!
他の族の手先か!?」

いや、それはない。
もし他の族の手先なら、こんな接触の仕方をしない。
普通の女子に紛れて近づいてくるはずだ。

そもそも、監視役ってなんだ?

何かの組織みたいなやつなのだろうか。
それに、あいつの周りは何だか違和感がする。
うまく言えないが、普通の人間でなさそうなのは確かだった。

知ろうにも、本人がいなければ無理なことだ。

「知りたければ昼まで待てってことか。」

「そうだね。
じゃ、教室に戻ろっか。」

「なぁなぁ!!
あいつ怪しすぎるよな!
そう思うだ......いてっ。」

騒ぎまくる雷雨を小突いてから、俺達も屋上を後にした。