女の言葉に、場がざわついた。
ヒソヒソと女に対する文句が飛び交う。

「なに、あの女。」
「十夜様達に何の用なのよ。」
「馴れ馴れしい。」

冷たい視線が女に向けられる。
しかし、それを気に止めることなく、女は十夜の腕を引っ張ってその場を離れた。

教室にいる女子が叫んだのは言うまでもない。









「で、何の用だ。」

結局、屋上に連れてこられた十夜達。
フェンス越しに運動場を眺めながら、女は言った。

「ごめんね、朝っぱらから呼び出して。
でも、これだけは先に言っとくべきかなーと思ってさ。」

言い終えると、十夜達の方へと向き直る。

「私の名前は葵 天夜。
お前らの監視役、とでも言っておこうか。」

「へ?」

まぬけな声をあげたのは雷雨。
他の二人は声をあげはしなかったが、驚いた顔をしている。

「詳しい話はお昼の時にまたここで。
とりあえず、一番重要なことは言ったから。」

女はそれだけ言うと、まだ驚いている三人の横を通って扉の向こうへと消えていった。