「葵さんって、王我の人達とどういう関係?
今朝、一緒にどっか行ったから気になってさ!
クラス…というより、学年中の噂だよ。」

さて、どう説明したものか。
どういう関係と聞かれても、そんな面白いものじゃないしなぁ。
監視役だから、あえて言うなら物騒な関係だ。

あ、そういえばあいつらって御曹子かなんかだったよね。
よし、それを使おう。

「ただの知り合いだよ。
親のつながりでちょっと縁があるんだ。」

「あ、そっか。あの三人ってお金持ちだっけ?
ってことは葵さんもお金持ち!?」

「ん、まぁ一応…。」

「うひゃぁ、すごいねー…。」

何とか切り抜けたみたいだ。
昨日送られてきた資料を読んどいてよかった。

それにしても、御曹子なのに暴走族やってるって親に反対されないのかな?
普通、子供に真っ当な人生を歩んで欲しいはずだよね。
橘さんに聞いてみるか。

「なんであいつらって暴走族やってんの?」

「え、知らないの?
あの三人って全員お兄ちゃんがいて、会社を継げないの。
だから、別にやんちゃしててもいいんだって。
でもね、ちゃんと頭はいいし、授業は出てるし、暴走族ってこと以外はまともだよ。」

「ふーん。」

なるほどねー。
確かに、有能であれば自分の会社なら入社できるから暴走族でも問題ないのか。

「ありがとね。」

礼を言ったら、橘さんは心底嬉しそうな顔をしていた。
素直な彼女を抱き締めたいと思うのは、私だけじゃないはずだ。