東京から送っておいた荷物を解きながら部屋を整理していると、窓の外はあっという間に暗くなった。
とりあえず、なんか飯でも買ってくるか…。
さっき届いたばかりの新車の鍵と財布を持って、俺は自分の部屋を出る。
就職してからずっと乗っていた車は、走行距離数もかさんでいたし、これを機に手放して新車を購入した。
かなり大きな買い物だったけど、市内の店舗を回るなら絶対車があった方がいい。
エリカを乗せることだって、もしかしたらあるかもしれない。
そんな淡い期待を込めて、俺は東京で契約した車をわざわざ仙台で受け取っていた。
(まだ、帰ってきてないみたいだな…)
人のいる気配がないエリカの部屋を見つめながら、俺はそこで足を止める。
もしも、エリカに彼氏がいたら。
この部屋に男が訪ねてくるのを、隣の部屋でじっと我慢して耐えなければならない。
「……っ」
それを想像するだけで、胃の辺りに熱いものがこみ上げてくる。
俺はこの二年間そういうものとは無縁で、ずっと仕事ばかりに時間を費やしてきた。
だけど、エリカはどうなんだ…?
二年前に比べて、あいつは確実にキレイになってるだろう。
言い寄ってくる男なんて、もちろんたくさんいて…。
もやもやとどうしようもないことばかり考えていた俺の心には、醜い嫉妬が渦巻いている。
だからエレベーターが到着した音に、全く気がつくことはなかった。