なぜか泣きそうな顔をしながら、エリカは何かを堪えるように唇を引き結んでいる。

それがあまりにも扇情的な眼差しで、俺は白い足の付け根に自分の腰をグッと押し付けていた。

「エリカ、お前は?」

「…酔っ払いには会いたくなかった」

「ほんと可愛げがないな」

こめかみから髪の生え際に指を梳き入れて、目尻に軽くキスを落とす。

「可愛くないと思うなら、…私に触らないで」

俺に会うため急いで来るなんて期待させるようなことをしたと思えば、こうやっていとも簡単に突き放してくる。

そんな行動や言葉の一つに俺がどれだけ振り回されているのかなんて…こいつにわかる筈もない。

自分が今、一体エリカの中でどれだけの存在なのか。

半年近く身体の関係に耽っているだけで、心は未だに掴めそうもなかった。

「触らないでって言う割には、お前の体も、俺が欲しくて仕方ないみたいだけど」

指先から滴るほど溢れかえった様子を見せつければ、エリカの顔がカッと一気に紅潮していく。

「しょう、…や、ぁっ…」

「嫌ならもっと本気で抵抗しろ」

「…翔、太…」

久しぶりすぎて、目眩がするほどの愉悦を感じる。

律動に合わせて、エリカのつま先が力なく宙を蹴っていく。

一際大きく上がった嬌声に、俺の理性は跡形もなくかき消されていた。